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ロックダウン体験記

ロックダウン体験記

TT&Vコンサルタンシーの中村です。
普段、僕はフィリピンに定住しているのですが、3月末に日本に帰国していて、現在は岩手県の実家で暮らしています。

全世界で猛威を振るう新型コロナウィルス対策に伴い、フィリピンで実施されたロックダウン生活を約2週間体験し、空港の様子なんかも目の当たりにしましたので、現地の様子を体験談としてお伝えしたいと思います。


(1)中村のライフスタイルに関して

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弊社のクライアントにもオーナーさんが多いのですが、僕はセンチュリー・プロパティーズの「アクア・プライベート・レジデンス」というコンドミニアムに住んでいます。

パシッグ川を挟んでロックウェルの対面に位置する場所で、所在地としてはマンダルヨン市になります。
川添いなので、橋を渡ればすぐにマカティで、センチュリーシティには徒歩で15分くらいのアクセスです。

ロックウェルにも、バンカーボートと呼ばれる渡し船(運賃わずか4ペソ)に乗って、徒歩と合わせて20分くらいでアクセスできます。
(弊社のオフィスまでは徒歩で25分くらいで、歩いて通勤しています)

ですので、普段の買い物はセンチュリーシティやロックウェルのショッピングモールに入っているスーパーで行っています。
とはいえ、一人暮らしですのでそこまでしっかりとした自炊を行っている訳ではなく、ご飯だけ家で炊いて、おかずは外で買ってきたり、外食したりというライフスタイルです。スーパーでは、主に飲み物やお菓子、トイレットペーパー等を購入する程度です。

お米や果物なんかは、パレンケと呼ばれるローカル・マーケットで買っています。
コンドミニアムから徒歩10分くらいの場所にあって便利です。スーパーで買うよりも安いです。
ごはんのお供にするおかずも、カレンデリアと呼ばれる屋台のような所で買ったりします。


(2)ロックダウンの影響について

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https://twitter.com/rapplerdotcom/status/1238126809612419073/photo/2

さて、前置きが長くなりましたが、ロックダウンの影響についてです。

まず、スーパーが鬼のように混んでいます。店内の人数を制限していて、先に入ったお客さんが出てきたら入れる、という感じです。店の前に行列が出来ています。

とても待っていられないレベルの長さなので、入店した事はないのですが、ツイッターで他の日本人在住者の話を聞くと、買い物するだけで2時間とか、そんなレベルらしいです。15分くらいの待ち時間で入店できればラッキー、みたいな。列の長さを見ると、確かにそれくらい時間を奪われそうだな、と思いました。

銀行も同様です。一応営業はしているのですが、店の前やATMに長蛇の行列が出来ていて、耐えられないレベルです。
幸い、僕は普段から多めに現金を手元に置いているので、出金しなくても持ちこたえる事が出来ましたが、お金を降ろすだけで一苦労、といった感じです。
あと、ATMの中に現金が無くなってしまい稼働していない、というようなケースも散見されるとか。

スーパー等の品物の供給は十分にされていて、日本のように、買い占めされて欠品が相次ぐ、というような事は殆ど無いのですが、とにかく時間と忍耐力が要求されます。

そんな状況でしたので、スーパーでの買い物は諦めました。
幸い、パレンケの方は平常時と殆ど変わりなく買い物できました。また、トイレットペーパーや洗剤なんかは、コンビニやドラッグストアでも買えるので、こういう小規模店舗を使えば、大混雑は回避できました。

画像の説明

特に、コンドミニアムの1階に入っているコンビニ(ローソン)は僕にとってはオアシスのような存在でした。(若干高いのですが)スーパーで買いたかったものがここなら並ばずに買える、という感じで大助かりです。

それから地味に困ったのは、洗濯です。コンドミニアムの周辺にはたくさんの個人経営ランドリーがあるのですが、ロックダウンで殆どが休業状態となり利用できませんでした。
しょうがないので、部屋で手洗いして干すしかないのですが、コンド住まいだと、バルコニーに洗濯物を干すのが禁止されていたりもするので、洗濯ひとつ取っても大変です。
物件によっては、部屋に洗濯機と乾燥機が付いている部屋も有ります。こういう時には特にありがたい設備だと思います。
床屋とかも休業していますので、ロックダウンが長引いてくると、散髪できないのも問題になってきます。

一方で、コンドミニアムの中に関しては、パレンケ同様、ほぼ平常運転という感じです。
お掃除のスタッフも毎日共用部をキレイにしてくれますし、(むしろ、いつも以上に消毒とかを念入りにやってくれる)コンシャルジュやPMO、エンジニアリング部門も休業していません。何か困った事があれば相談に乗ってくれます。
流石に、エンジニアが対応できない工事とかは外部業者を呼ばなければいけないですし、部品が調達できずに工事ができないといった問題はありますが、ちょっとしたトラブルに関しては、いつもと同じように対応してもらえる感じです。


(3)外出規制の動向

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https://www.voanews.com/press-freedom/quarantine-press-pass-amounts-censorship-philippine-journalists-say

1か月前にメトロマニラでロックダウンがスタートした時には、「夜間の外出禁止」という程度の規制だったと記憶しています。
公共交通機関はすぐに止まりましたし、食料および薬以外の店舗もすぐに休業になりましたので、出かけてもしょうがないというような状況ではあったのですが、一応、明るいうちには散歩とかしていても怒られませんでした。
しかし、途中でどんどんルールも変わって、食料品等の買い出し以外では外出してはいけないとか、出かける時は世帯で1人だけ、とか。それに伴い、バランガイが発行する外出許可証を携帯しないといけなくなってゆきました。

この辺の細かいルールや運用に関しては、バランガイ毎に温度差があって、政府・各政府系の機関・市・バランガイで勝手に動いている感じで、民衆サイドは翻弄されまくりました。

マスクの着用に関しては特に義務化されていませんでしたが、一部の店舗はマスクが無いと入店できないというような独自ルールを設けていました。(店の入り口にNo Face Mask, No Entryの張り紙)
また先日、マカティでは外出時のマスク着用が義務化された、というニュースが流れていました。

外出規制の違反者は逮捕されます。日本でも、某観光地で邦人が逮捕されたというニュースが流れていました。
また、既に逮捕者は累計で1万人を突破しているようです。

日本では、制度の策定や運用開始までに議論がじっくり行われ、慎重に動き出すのが常ですが、フィリピン(および東南アジア諸国)では、とりあえず動き出して、問題があれば後から調整していけばいい、というスタンスです。

外出規制は日に日に厳しくなっていきますし、お店の営業時間もどんどん短縮傾向にあるようです。営業を続けることが出来ずに休業に切り替えるお店も出てきているようですし、どんどん自由が奪われていく感じです。


(4)フィリピンを脱出して日本へ

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https://www.gulftoday.ae/news/2020/03/18/pal-continues-normal-flights-between-dubai-and-manila

日本の運転免許証を更新しなければいけなかったので、4月には日本に来る予定でしたが、ロックダウンも有って賃貸管理業務ができなくなってしまった(フィリピンに居てもやる事が無くなった)のと、生活面での不自由さから日本への帰国を決意しました。

まず飛行機の手配ですが、LCCは早々に運航休止。ジェットスターやセブパシフィックはチケットが予約できませんでした。平常時はマニラから成田まで2万円弱で移動できてリーズナブルなのですが、残念ながら利用不可。

次にフィリピン航空。3月20日頃は3万円ちょっとで予約できたのですが、3月24日くらいの便から急騰。5万円を超えてきました。これならANAやJALと変わらないなということで、結局、5万円ちょっと払って、3月27日のJAL便を予約しました。

その後、他の方から聞いて知ったのですが、フィリピン航空はロックダウン明けまでの運休へと方針転換し、予約できていたフライトもキャンセルになったそうです。JALを予約していなかったら、飛行機の手配からやり直しになっていた所だったのでラッキーでした。

そして、最大の難関が空港までの移動手段です。

あらゆる公共交通機関が(Grabやタクシーなども)営業停止となっていて、空港までの足がありません。エアポートタクシー(黄色いタクシー)だけは営業を再開したという事で、運営会社10社くらいに片っ端から電話をかけてみたのですが、どこもつながらず。

最終的に、フィリピン人の友達のツテで、Grabのドライバーをやっている人を紹介してもらって、迎えにきてもらいました。

しかし、外出規制の関係から、午前10時までには家に帰らなければいけないという事で、朝の7時にピックアップしに来る、と言われました。約束通り7時に来てくれて、8時には空港に無事到着できたのですが、ここから長い戦いが始まりました。フライトは午後3時。空港で7時間待機です。

幸い、売店は営業していて、軽食程度は調達できました。待合室で12時頃まで時間をつぶしてロビーに移動。3時間前なのでチェックインカウンターが開いているはずなのですが、スタッフは不在。電光掲示板を見ると、僕が予約したJL742便はDelay(遅延)の表示が・・・。

まさか、ここまで来て飛行機が飛ばないなんて事があるのか、と不安になりました。更に追い打ちをかけるようにGoogleからの通知がスマホに届きました。「JL742, Canceled」

まじかー! 絶望感に包まれましたが、現場の方ではあくまで「キャンセルではなく遅延」という事だったので、しばらく様子をうかがいました。JL742便(マニラ発成田行き)は、成田からマニラに飛んでくるJL741便の折り返しらしいです。そして、前の便が整備不良によって、成田に引き返したという情報が入ってきました。

最終的には臨時便が20時に飛ぶ事になり、何とか日本へ帰る事は出来るようになりました。しかし、行先は成田ではなく羽田。成田空港付近に予約していたホテルにキャンセルの連絡を入れました。事情を考慮してくれて、当日のキャンセルでしたが100%返金対応をしてもらえました。

フィリピン時間20時に出発し、日本時間25時過ぎに空港に着きました。ホテルと交通手段はJALが手配してくれて、夜中の3時くらいに品川のビジネスホテルに到着しました。

結果的に、空港で12時間待機し、ほぼ丸一日かかりましたが、何とか日本に戻ってくることが出来ました。

今、日本でも検疫が厳しくなっていて、海外からの渡航者は空港やホテルで14日間の待機が求められます。幸い、僕が帰国した3月27日までは対象外で、3月28日以降のフライトから適用になりましたので、ギリギリ回避できました。

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ネットで写真をみると、ロビーに段ボールで仕切りを作ってベッドが設置されていて、さながら野戦病院でした。災害時の避難所という感じで。こんなところで待機しなければいけないのか、とゾッとします。




長くなりましたが、僕の体験したメトロマニラでの約2週間のロックダウン生活についてお伝えしました。

自由を失った閉塞感というのは、かなりのストレスです。今は岩手で不自由の無い生活を送っていて「日本は平和だな~」と安堵しています。

引き続きフィリピンの情勢はチェックしていますが、なかなか感染者の数も減らず、状況は厳しいです。予定では4月末にロックダウン解除となっていますが、このまま解除して大丈夫なのか、また延長されるのではないか、と、不安な状況が続いています。

一刻も早く事態が収束し、以前の生活が戻る事を祈るばかりです。

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